いつも通りの鳥の声と、幽かなたくさんの騒ぎ声で、少し早めに目が覚めた。うるさいなあ、もう。誰が騒いでる――え?
 窓の外には、花、花、花。マーガレット、ハイビスカス、コスモスにアザレア。
 季節も時間も関係無しに、元気いっぱいに咲いている。
 騒いでいるのはその花たちと、その上で遊んでいる妖精みたい。
 こんなの初めて。マスターに知らせなきゃ!

「こんな朝早くから元気ね。何かいいことでもあった?」
 よく分からないけど、花がいっぱい咲いてるの!
「花? 春なんだから咲くでしょうに」
 そんな問題じゃないの! いいから見てみて、ねえマスター!
「分かった、分かったからそんなに引っ張らないの」
 ちょっぴりはしたないけど、マスターを窓の側に引っ張って連れて行く。だって、そうでもしないと見てくれそうにないんだもの。

「あら、本当。花だらけね」
 でしょ!? どうしちゃったのかな、また誰かが悪さしてるのかな!?
 でもでも、こんなに綺麗なんだからちょっとくらい悪いことでも――
「ちょっと落ち着きなさい。原因はちゃんと分かってるんだから」
 え? マスター、何か知ってるの?
「ああ、そっか。上海は見たことないのよね。うーん、それじゃあ……」

 マスターは、腕を組んで何か考え事をしてる。何を考えてるのか分からないけど、きっといい考え。
「今日はみんなでピクニックに行きましょう。みんなに伝えてきて」
 …………え?
「あら、嫌だったかしら? 偶にはあなたたちも遊びたいでしょ?」
 …………うん! ありがとうマスター!

 今日はいっぱい遊ぼう! みんなと、マスターと!